2018年6月29日金曜日

リスクアセスメントの基本手順

農業現場での改善活動における「リスクアセスメント」とは、
事故や違反の発生による経営的な損失の可能性、すなわち「リスク」を客観的に評価し、そのリスクの低減、すなわち「改善」を行い、さらにリスクの評価と改善を継続していくことです。

厚生労働省(2006)による「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」を参考にして、農業現場における「リスクアセスメント」の手順を以下のようにまとめました。

[1] ハザードの特
 現場のあらゆる事故の発生要因、すなわちハザードを洗い出し、特定する。

[2] リスクの見積り
 [1]による事故の重篤度すなわち経営的な損失の度合い及び
 その事故が発生する可能性の度合いを組み合わせて、リスク を見積る。

[3] 改善策の検討
 [2]の見積りに基づくリスクを低減するための優先度を設定した上で、
 そのリスクを低減するための措置(リスク低減措置)=改善策を検討する。

[4] 改善策の実施
 [3]の 改善策 を現場で実施するとともに、その結果を評価、記録する。

[5] 以上の手順を繰り返す。

継続的な改善活動の手順

リスクアセスメントにもとづく継続的な改善活動の手順
農業現場リスクアセスメントシステム」の各ツールを利用します。

  ※改善活動における重要な用語は、太字

①関係者の合意形成改善チームの編成 =様々な担当の責任者を決める
       ↓
経営方針や、農作物の品質目標の確認 =守るべき規則目標を決める
       ↓
圃場、設備、機械、資材等、生産工程の確認 =いわゆる「棚おろし
       ↓
工程図表作業マニュアル帳票各種の作成 =最初は既成のものを利用
       ↓
生産工程特性要因図ハザードマップによる「ハザードの特定
       ↓
リスク評価表を用いた「リスクの見積り」=優先して改善する項目を決定
       ↓
改善策データベースを用いた「改善策の検討」 =改善策を決定
       ↓
重要管理点(CCP)管理基準(CL)の設定 =CCPごとのCLを数値で設定
       ↓
作業マニュアル帳票チェックシートの更新
 現場のモニタリングの対象や方法の設定
       ↓
記録の作成、保存、確認(チェック)による「改善策の実施」→再度

⑤~⑩の手順の繰り返しが、改善活動の PDCAサイクル

食品安全マネジメントシステムHACCPの「7原則12手順」を参考に作成。

2018年6月26日火曜日

チェックリストの活用

農業経営に役立つ、チェックリストチェックシート

農業における人間工学的チェックポイント・アプリ
事故防止や作業効率化等のための改善事例集をアプリにしたもの。
国際労働機関(ILO)が開発。無料でダウンロードできます。

農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター
主に労働安全について、改善すべきこととその改善策の事例集。
関連データ:農作業現場改善チェックリスト

新規就農者向けの経営管理チェックシート
新規就農者の達成度を把握するためのツール。農研機構が開発。
「新規就農者向け 経営課題発見チェックシート」もあります。

掃除チェックリスト - 阿部梨園の知恵袋
従業員で掃除当番を決め、清掃作業を一覧にして毎回チェックします。
関連データ:農業経営の知恵袋 

2020/04/30 更新

作業しやすくする照明の工夫

効率よく快適に作業できるよう、作業場内を明るくしたり照明の配置を工夫します。

《なぜ》
1)効率よく作業するには、作業場内を十分な明るさに保つ必要があります。
特に視力が低い方は早く疲労する傾向があります。

 果実など生産物の選別は、鮮度や色を判別するために、
部屋の明るさ、照明、壁の色も能率、精度に大きく影響します。

2)照明のまぶしさについては、
(1)光源(電灯、太陽光)が直接目に入る場合
(2)光沢のある作業台等に反射する場合 があります。
このようなことがあると、対象物が見にくく、不快感が伴い、
作業効率が低下する上に、目が早く疲労します。

《どのように》
1)太陽光を採り入れます。(例:窓をきれいにする、窓の近くで作業する、窓を大きくする、高い位置に窓を取り付ける、ブラインドを設置する)

2)太陽光を利用しにくい時は、電灯で明るさを調節します。
 全体照明は部屋全体に行き渡るようにします。(一方向のみではカゲができ、作業がしづらくなります。)

3)高周波の蛍光灯や白熱灯等ちらつきの少ない照明を使用します。

4)視力によって適切な明るさが異なります。各自が作業しやすい明るさになるよう電気スタンド等の手元照明で調整します。

5)壁と天井の色を工夫します。(例:明るい色を塗装する。ただし、反射光でまぶしくならないようにつや消しのものを塗装する。)

6)照明のまぶしさは2種類あります。
 (1)光源(電灯、太陽光)が直接目に入る
 (2)光沢のある作業台等に反射する
 前者では、光源が直接見えないよう窓にカーテンを掛ける、電灯の高さを調整する、電灯フードを取付ける、つい立てを立てる等の対策をとります。
 後者では、光沢のある面の角度を変える、覆いを掛ける、つい立てを立てる等対策をとります。

《追加のヒント》
1)太陽光が強すぎる場合は遮光します。(例:カーテン、ブラインドを調節する)
2)照明のちりやほこりは定期的に清掃し、明るさを維持します。
3)時々、視力検査を行い通常より著しく低下している場合は、休憩するか別の作業をするようにします。
 例:下の小さな文字が読めない場合は休憩します。
 視力検査見えますか?

4)目の疲労を少なくするためには、対象物の背景も重要です。作業台の色を工夫したり、作業に関係ないものを目の前から取り除きます。
5)生産物の選別作業では、鮮度や品質の判定のために照明の色も重要です。太陽の下と同じように見える色のものを使用します。
6)通路にも照明を設置します。その時は、照明スイッチを出入口付近かセンサ付きライトを設置します。
7)照明のスイッチの位置が分かりやすいように、蓄光式シール等を貼ります。
8)屋外の夜間作業は安全に注意します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

作業環境の暑さ対策-熱中症の防止

労働安全:必須 効率化:必須
暑い季節、暑い場所では、熱中症を防止するために、
涼しい服装で作業したり、室内を涼しくしたりする工夫をします。

※農林水産省が、様々な熱中症対策アイテムを紹介しています
※関連データ:作業環境の暑さ対策-食中毒の防止 もご覧ください。

《なぜ》
 ハウス内作業のように高温多湿な環境、製茶作業の火炉周辺のように熱気を感じながら作業すると、体力を消耗したり、熱中症になる危険性があります。

 熱放射がない場合、軽作業では温度20~25゚C程度相対湿度30~70%程度が快適に作業できる範囲と言われています。熱放射がある場合やきつい作業ではさらに温度を低くする必要があります。
 作業場内の温度、湿度を作業しやすいレベルに調節するのが困難な場合は局所冷房や服装等の対策が必要です。

《どのように》
 涼しく作業するために、以下の点に配慮して対策します。
  (1)熱源と作業者を隔離する。
  (2)風を体にあて熱を放出する。
  (3)汗を蒸発させて熱を放出する。
  (4)自分自身からの発熱を抑える。
  (5)水分を適切に補給します。

〔屋外〕
1)温湿度計を設置して、30℃以上の暑い時期をはずして作業します。
2)なるべく直射日光をさけ、日陰(木陰など)や室内で作業します。
  外で収穫した野菜を直ぐ空調の効いた室内に搬入し調製します。
  これは収穫物の鮮度を保持するためにも重要です。
3)涼しい服装をしたり、濡れタオルや保冷剤を体に巻きます。
 もし、野菜の洗浄のように濡れる場合は、必ずしもカッパを着るのではなく
 前掛け、腕カバーで最小限の範囲をカバーすると蒸れを少なくできます。
4)汗で失われた水分や塩分をこまめに補給します。

〔屋内〕
1)日光を遮光します。(例:軒を長くする、日除け、ブラインドを掛ける)
2)外気を効率よく取り込みます。(例:風向きと同じ方向の窓を開けます。)
3)循環ファンで室内の空気を強制的に循環させます。
4)作業舎内にクーラー等空調設備を設置します。
5)作業舎に空調設備を設置できない場合は、扇風機やスポットクーラーで
 作業者に直接風を当てるようにします。
6)また、作業舎近くに空調のある休憩室を用意します。
 出入口はドア又はカーテン等で冷気が逃げないようにします。
7)天井に断熱材を貼り、屋根からの熱放射を防ぎます。
8)バーナー等の熱源と作業者を離すか、断熱材で隔離します。
 (例:つい立てを立てる)また、加熱された空気を局所排気します。

《追加のヒント》
1)汗が冷え、カゼをひかないように、こまめに下着を交換します。
2)室温を低くしすぎたり、温度差のある場所をひんぱんに出入りすると
 体温調節がうまくいかなくなることがあります。
 着替えたり、汗をふき取り調節します。
3)歳をとると、水分不足に対する感覚が鈍ることがあります。
 こまめに水分をとります。(喉の渇きを感じていない時も飲む)

2024/08/16 更新

作業環境の寒さ対策

労働安全:必須 効率化:重要
寒い季節には、室内を暖房するか、温かい服装で作業します。

《なぜ》
1)冬の剪定作業や、保冷庫内での作業のように寒い環境で作業していると、手足や体が冷え、作業の能率が低下したり、動きがぎこちなくなったりします。腰痛や関節痛の経歴のある方は痛むことがあります。

2)温度、湿度をコントロールするのが困難な場合は、防寒着手袋靴下等を活用して保温します。

《どのように》
 体を冷やさないために、以下の点に配慮して対策をとります。
(1)温める。
(2)風や冷たい水から体を保護する。
(3)汗が蒸発しないようにする。
(4)自分自身の熱を保持する。

 具体的には、
〔屋外〕
1)防寒着を着用します。効率よく保温するために、上着は風をさえぎるコートやウインドブレーカ、内側に温かい空気を保持するセーターと汗を吸収する下着を着用します。袖や襟口は空気が逃げないように閉じます。
 水を取り扱う場合は、上着に防水加工したものを着用します。
2)手袋も同様に、外側には防寒のためのビニール手袋、内側に保温するため綿手(軍手)を重ねます。靴下も厚手のものをはきます。さらにカイロで温めます。
3)一旦手足が冷えてしまうと、血行が悪くくなり、なかなか回復しません。この場合は、ストーブやお湯で直接温めます。
4)作業が始まると暑く感じたり、汗をかきます。こまめに着替えたり、体温を奪われないように汗をふき取ります。
5)日なたで作業するようにします。朝夕の寒い時期をはずしたり、寒い所での作業時間を短くします。
6)作業現場近くに空調付きの休憩室を用意します。
7)キャビン付きトラクタ等の購入を検討します。

〔屋内〕
1)暖房します
2)太陽光を積極的に取り入れます。(例:日除けを高くする、ブラインドの角度を調節する)
3)外からの冷気を遮断する。(例:窓に断熱フィルムを貼る、カーテンをする)
4)出入口から温かい空気が逃げないようにします。(カーテンを掛ける、二重扉にする)
5)作業場の温度調節ができない場合は、近くに空調のある休憩室を用意します。

《追加のヒント》
1)保冷庫を頻繁に出入りする時は、体温調節がうまくいかなくなることがあるので、こまめに着替えたり、汗が凍らないようにふき取ったりします。

2)寒い所でチェーンソーや電動工具を使用する時は、血行障害の危険性が特に高くなるので、手足を保温するようにします。

3)石油ストーブを使用する時には、火事酸欠に注意します。

関連データ:換気不足による一酸化炭素中毒防止
引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

2026/01/08 更新

圃場への出入口の幅を広くする

圃場への出入口の幅を広く、傾斜を緩くします。

《なぜ》
1)大型の機械に更新すると圃場の出入口の幅が不足することがあります。実際に、圃場へ入ろうとして脱輪し、転倒する事故も報告されています。特にトレーラをけん引している場合は、内輪差が大きく危険です。

2)圃場整備において、出入り口のスロープ(小さな坂)の傾斜は10%以下に施工することになっていますが、この程度の傾斜でも機械が圃場を出入りする時に緊張し、非常に疲れます。

《どのように》
1)農閑期に圃場の出入り口の幅を広げ、スロープを長くして傾斜を緩くします。この時、機械の走行に十分な強度があるものにします。
 個人で施工が難しい場合は、地域で施工できるように相談します。

2)けん引車の内輪差を考慮して、スロープの幅は特に余裕をもたせます。角は切りします。

3)路肩が分かりやすいように、時折畦畔の草刈りを行います。(雑草の花が咲く前に草刈りをすると繁殖の勢いを抑えられます。)また、柵や棒を路肩に立てます。

《追加のヒント》
1)圃場から出るときは、防除機のブーム等を折り畳み、トラクタの左右ブレーキを連結します。

2)運搬車に荷物を積載すると、重心が高く転倒しやすくなりますので、十分注意します。

3)スロープを上り下りする場合は、重心のある側をスロープの山側に(例:フロントローダー装着時は機械前方を、ロータリ装着時は機械後方をそれぞれ山側にします。)、傾斜方向に対して平行にして進行します。
 また、登坂中に旋回操作しないようにします。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

屋外作業での花粉症対策

 労働安全: 重要  効率化: 重要 スギ等の花粉が多くなる季節には、花粉症の症状がなるべく出ないように対策します。 《なぜ》 呼吸がつらい状態での作業は、事故や体調悪化につながることがあります。 《どのように》 花粉症・呼吸器症状|症状が悪化しやすい春先の農作業 より 初期対...