2018年6月29日金曜日

リスクアセスメントの基本手順

農業現場での改善活動における「リスクアセスメント」とは、
事故や違反の発生による経営的な損失の可能性、すなわち「リスク」を客観的に評価し、そのリスクの低減、すなわち「改善」を行い、さらにリスクの評価と改善を継続していくことです。

厚生労働省(2006)による「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」を参考にして、農業現場における「リスクアセスメント」の手順を以下のようにまとめました。

[1] ハザードの特
 現場のあらゆる事故の発生要因、すなわちハザードを洗い出し、特定する。

[2] リスクの見積り
 [1]による事故の重篤度すなわち経営的な損失の度合い及び
 その事故が発生する可能性の度合いを組み合わせて、リスク を見積る。

[3] 改善策の検討
 [2]の見積りに基づくリスクを低減するための優先度を設定した上で、
 そのリスクを低減するための措置(リスク低減措置)=改善策を検討する。

[4] 改善策の実施
 [3]の 改善策 を現場で実施するとともに、その結果を評価、記録する。

[5] 以上の手順を繰り返す。

継続的な改善活動の手順

リスクアセスメントにもとづく継続的な改善活動の手順
農業現場リスクアセスメントシステム」の各ツールを利用します。

  ※改善活動における重要な用語は、太字

①関係者の合意形成改善チームの編成 =様々な担当の責任者を決める
       ↓
経営方針や、農作物の品質目標の確認 =守るべき規則目標を決める
       ↓
圃場、設備、機械、資材等、生産工程の確認 =いわゆる「棚おろし
       ↓
工程図表作業マニュアル帳票各種の作成 =最初は既成のものを利用
       ↓
生産工程特性要因図ハザードマップによる「ハザードの特定
       ↓
リスク評価表を用いた「リスクの見積り」=優先して改善する項目を決定
       ↓
改善策データベースを用いた「改善策の検討」 =改善策を決定
       ↓
重要管理点(CCP)管理基準(CL)の設定 =CCPごとのCLを数値で設定
       ↓
作業マニュアル帳票チェックシートの更新
 現場のモニタリングの対象や方法の設定
       ↓
記録の作成、保存、確認(チェック)による「改善策の実施」→再度

⑤~⑩の手順の繰り返しが、改善活動の PDCAサイクル

食品安全マネジメントシステムHACCPの「7原則12手順」を参考に作成。

2018年6月26日火曜日

チェックリストの活用

農業経営に役立つ、チェックリストチェックシート

農業における人間工学的チェックポイント・アプリ
事故防止や作業効率化等のための改善事例集をアプリにしたもの。
国際労働機関(ILO)が開発。無料でダウンロードできます。

農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター
主に労働安全について、改善すべきこととその改善策の事例集。
関連データ:農作業現場改善チェックリスト

新規就農者向けの経営管理チェックシート
新規就農者の達成度を把握するためのツール。農研機構が開発。
「新規就農者向け 経営課題発見チェックシート」もあります。

掃除チェックリスト - 阿部梨園の知恵袋
従業員で掃除当番を決め、清掃作業を一覧にして毎回チェックします。
関連データ:農業経営の知恵袋 

2020/04/30 更新

作業しやすくする照明の工夫

効率よく快適に作業できるよう、作業場内を明るくしたり照明の配置を工夫します。

《なぜ》
1)効率よく作業するには、作業場内を十分な明るさに保つ必要があります。
特に視力が低い方は早く疲労する傾向があります。

 果実など生産物の選別は、鮮度や色を判別するために、
部屋の明るさ、照明、壁の色も能率、精度に大きく影響します。

2)照明のまぶしさについては、
(1)光源(電灯、太陽光)が直接目に入る場合
(2)光沢のある作業台等に反射する場合 があります。
このようなことがあると、対象物が見にくく、不快感が伴い、
作業効率が低下する上に、目が早く疲労します。

《どのように》
1)太陽光を採り入れます。(例:窓をきれいにする、窓の近くで作業する、窓を大きくする、高い位置に窓を取り付ける、ブラインドを設置する)

2)太陽光を利用しにくい時は、電灯で明るさを調節します。
 全体照明は部屋全体に行き渡るようにします。(一方向のみではカゲができ、作業がしづらくなります。)

3)高周波の蛍光灯や白熱灯等ちらつきの少ない照明を使用します。

4)視力によって適切な明るさが異なります。各自が作業しやすい明るさになるよう電気スタンド等の手元照明で調整します。

5)壁と天井の色を工夫します。(例:明るい色を塗装する。ただし、反射光でまぶしくならないようにつや消しのものを塗装する。)

6)照明のまぶしさは2種類あります。
 (1)光源(電灯、太陽光)が直接目に入る
 (2)光沢のある作業台等に反射する
 前者では、光源が直接見えないよう窓にカーテンを掛ける、電灯の高さを調整する、電灯フードを取付ける、つい立てを立てる等の対策をとります。
 後者では、光沢のある面の角度を変える、覆いを掛ける、つい立てを立てる等対策をとります。

《追加のヒント》
1)太陽光が強すぎる場合は遮光します。(例:カーテン、ブラインドを調節する)
2)照明のちりやほこりは定期的に清掃し、明るさを維持します。
3)時々、視力検査を行い通常より著しく低下している場合は、休憩するか別の作業をするようにします。
 例:下の小さな文字が読めない場合は休憩します。
 視力検査見えますか?

4)目の疲労を少なくするためには、対象物の背景も重要です。作業台の色を工夫したり、作業に関係ないものを目の前から取り除きます。
5)生産物の選別作業では、鮮度や品質の判定のために照明の色も重要です。太陽の下と同じように見える色のものを使用します。
6)通路にも照明を設置します。その時は、照明スイッチを出入口付近かセンサ付きライトを設置します。
7)照明のスイッチの位置が分かりやすいように、蓄光式シール等を貼ります。
8)屋外の夜間作業は安全に注意します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

作業環境の暑さ対策-熱中症の防止

労働安全:必須 効率化:必須
暑い季節、暑い場所では、熱中症を防止するために、
涼しい服装で作業したり、室内を涼しくしたりする工夫をします。

《なぜ》
 ハウス内作業のように高温多湿な環境、製茶作業の火炉周辺のように熱気を感じながら作業すると、体力を消耗したり、熱中症になる危険性があります。

 熱放射がない場合、軽作業では温度20~25゚C程度相対湿度30~70%程度が快適に作業できる範囲と言われています。熱放射がある場合やきつい作業ではさらに温度を低くする必要があります。
 作業場内の温度、湿度を作業しやすいレベルに調節するのが困難な場合は局所冷房や服装等の対策が必要です。

《どのように》
 涼しく作業するために、以下の点に配慮して対策します。
  (1)熱源と作業者を隔離する。
  (2)風を体にあて熱を放出する。
  (3)汗を蒸発させて熱を放出する。
  (4)自分自身からの発熱を抑える。
  (5)水分を適切に補給します。

〔屋外〕
1)温湿度計を設置して、30℃以上の暑い時期をはずして作業します。
2)なるべく直射日光をさけ、日陰(木陰など)や室内で作業します。
  外で収穫した野菜を直ぐ空調の効いた室内に搬入し調製します。
  これは収穫物の鮮度を保持するためにも重要です。
3)涼しい服装をしたり、濡れタオルや保冷剤を体に巻きます。
 もし、野菜の洗浄のように濡れる場合は、必ずしもカッパを着るのではなく
 前掛け、腕カバーで最小限の範囲をカバーすると蒸れを少なくできます。
4)汗で失われた水分や塩分をこまめに補給します。

〔屋内〕
1)日光を遮光します。(例:軒を長くする、日除け、ブラインドを掛ける)
2)外気を効率よく取り込みます。(例:風向きと同じ方向の窓を開けます。)
3)循環ファンで室内の空気を強制的に循環させます。
4)作業舎内にクーラー等空調設備を設置します。
5)作業舎に空調設備を設置できない場合は、扇風機やスポットクーラーで
 作業者に直接風を当てるようにします。
6)また、作業舎近くに空調のある休憩室を用意します。
 出入口はドア又はカーテン等で冷気が逃げないようにします。
7)天井に断熱材を貼り、屋根からの熱放射を防ぎます。
8)バーナー等の熱源と作業者を離すか、断熱材で隔離します。
 (例:つい立てを立てる)また、加熱された空気を局所排気します。

《追加のヒント》
1)汗が冷え、カゼをひかないように、こまめに下着を交換します。
2)室温を低くしすぎたり、温度差のある場所をひんぱんに出入りすると
 体温調節がうまくいかなくなることがあります。
 着替えたり、汗をふき取り調節します。
3)歳をとると、水分不足に対する感覚が鈍ることがあります。
 こまめに水分をとります。(喉の渇きを感じていない時も飲む)

2022/06/28 更新

作業環境の寒さ対策

労働安全:必須
寒い季節には、室内を暖房するか、温かい服装で作業します。

《なぜ》
1)冬の剪定作業や、保冷庫内での作業のように寒い環境で作業していると、手足や体が冷え、作業の能率が低下したり、動きがぎこちなくなったりします。腰痛や関節痛の経歴のある方は痛むことがあります。

2)温度、湿度をコントロールするのが困難な場合は、防寒着手袋靴下等を活用して保温します。

《どのように》
 体を冷やさないために、以下の点に配慮して対策をとります。
(1)温める。
(2)風や冷たい水から体を保護する。
(3)汗が蒸発しないようにする。
(4)自分自身の熱を保持する。

 具体的には、
〔屋外〕
1)防寒着を着用します。効率よく保温するために、上着は風をさえぎるコートやウインドブレーカ、内側に温かい空気を保持するセーターと汗を吸収する下着を着用します。袖や襟口は空気が逃げないように閉じます。
 水を取り扱う場合は、上着に防水加工したものを着用します。
2)手袋も同様に、外側には防寒のためのビニール手袋、内側に保温するため綿手(軍手)を重ねます。靴下も厚手のものをはきます。さらにカイロで温めます。
3)一旦手足が冷えてしまうと、血行が悪くくなり、なかなか回復しません。この場合は、ストーブやお湯で直接温めます。
4)作業が始まると暑く感じたり、汗をかきます。こまめに着替えたり、体温を奪われないように汗をふき取ります。
5)日なたで作業するようにします。朝夕の寒い時期をはずしたり、寒い所での作業時間を短くします。
6)作業現場近くに空調付きの休憩室を用意します。
7)キャビン付きトラクタ等の購入を検討します。

〔屋内〕
1)暖房します
2)太陽光を積極的に取り入れます。(例:日除けを高くする、ブラインドの角度を調節する)
3)外からの冷気を遮断する。(例:窓に断熱フィルムを貼る、カーテンをする)
4)出入口から温かい空気が逃げないようにします。(カーテンを掛ける、二重扉にする)
5)作業場の温度調節ができない場合は、近くに空調のある休憩室を用意します。

《追加のヒント》
1)保冷庫を頻繁に出入りする時は、体温調節がうまくいかなくなることがあるので、こまめに着替えたり、汗が凍らないようにふき取ったりします。

2)寒い所でチェーンソーや電動工具を使用する時は、血行障害の危険性が特に高くなるので、手足を保温するようにします。

3)石油ストーブを使用する時には、火事酸欠に注意します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター
関連データ:換気不足による一酸化炭素中毒防止

2023/11/24 更新

圃場への出入口の幅を広くする

圃場への出入口の幅を広く、傾斜を緩くします。

《なぜ》
1)大型の機械に更新すると圃場の出入口の幅が不足することがあります。実際に、圃場へ入ろうとして脱輪し、転倒する事故も報告されています。特にトレーラをけん引している場合は、内輪差が大きく危険です。

2)圃場整備において、出入り口のスロープ(小さな坂)の傾斜は10%以下に施工することになっていますが、この程度の傾斜でも機械が圃場を出入りする時に緊張し、非常に疲れます。

《どのように》
1)農閑期に圃場の出入り口の幅を広げ、スロープを長くして傾斜を緩くします。この時、機械の走行に十分な強度があるものにします。
 個人で施工が難しい場合は、地域で施工できるように相談します。

2)けん引車の内輪差を考慮して、スロープの幅は特に余裕をもたせます。角は切りします。

3)路肩が分かりやすいように、時折畦畔の草刈りを行います。(雑草の花が咲く前に草刈りをすると繁殖の勢いを抑えられます。)また、柵や棒を路肩に立てます。

《追加のヒント》
1)圃場から出るときは、防除機のブーム等を折り畳み、トラクタの左右ブレーキを連結します。

2)運搬車に荷物を積載すると、重心が高く転倒しやすくなりますので、十分注意します。

3)スロープを上り下りする場合は、重心のある側をスロープの山側に(例:フロントローダー装着時は機械前方を、ロータリ装着時は機械後方をそれぞれ山側にします。)、傾斜方向に対して平行にして進行します。
 また、登坂中に旋回操作しないようにします。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

高所作業での安全対策

労働安全:必須(高所作業があれば)
高所作業をなくすか、安定した足場を設置します。

《なぜ》
1)高所からの転落墜落)は農作業事故の上位を占めています
内容は、施設の屋根から転落、機械からの飛び降り、脚立の転倒などです。これらの場所は、しっかりした足場がなかったり、滑り止めや手すりがないことがあります。
2)歳を取って平衡感覚や脚の筋力が衰えてくると、不安定な場所で転倒しやすくなります。

《どのように》
1)高所作業を極力なくし、地上で作業できるようにします。 
 (例:高枝バサミ使用、カメラ監視、ポンプアップ)

2)ひんぱんに行く必要のある高所には、足場階段リフター等の昇降設備を設けます。ハシゴは上下を固定します。
3)足場には滑り止め処理と手すりを設置します。墜落の恐れのあるハシゴには周囲に柵を設けます。
4)足場板、柱、ロープ類は丈夫で完全なものを使用します。また、定期的に破損、ゆるみがないか点検します。
関連データ:脚立・ハシゴからの転落防止

5)高所作業では、ヘルメット命綱墜落制止用器具(安全帯)を使用します。靴は滑りにくいものをはき、ドロを落としてからハシゴ等に登ります。

6)高所作業での共同作業では、よく連絡をとり、危険防止につとめます。

7)高所作業は、工具等を落として下の者を傷つけないように、工具にヒモを付けるとか腰袋を利用します。

《追加のヒント》
 階段は、踏み面の奥行きが25cm程度、蹴上げ高さが18cm程度あり、段端が滑止め処理済みのものが、一般的に適当と言われています。
 重い荷物を抱えて上り下りする場合は、踏み面をさらに広く、蹴上げを低くする必要があります。手すりも設置します。

 古井戸や側溝に落下することのないように、丈夫なフタを取り付けます。
 路肩、障害物、池等危険な場所には、安全柵、目印になる杭や注意標識を設置します。
 路面のぬかるみや段差は平坦にします。

関連データ:農用高所作業機の安全使用

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター
参考:墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン - 厚生労働省
 ※「安全帯」の名称が「墜落制止用器具」に改められました。

2020/11/18 更新

傾斜地作業での安全対策

労働安全:重要 効率化:重要
安全に機械作業ができるように圃場の傾斜を緩くしたり、不整形区画を整備したりします。

《なぜ》
 傾斜地作業では危険な上に、緊張し疲れます。
(ブレーキを踏んでもなかなか止まらない、横滑りする、
 重い作業機を装着した状態では、コントロールが難しい。
 長方形の圃場に比べ、不整形区画では、旋回に時間がかかり、
 作業効率が悪くなります。
 農用運搬車の転倒事故の多くの間接原因は過積載で、大変危険です。

※人件費や機械の維持費が高いことを考慮すると、生産物の価格ばかりをみるのではなく、作業の効率化によるコストを抑え、収益を上げることも重要です。

《どのように》
1)農閑期に均平機で傾斜のきつい部分を緩くします。
2)傾斜のきつい部分は耕作しないようにします。
3)万が一に備えて、安全フレームまたは、キャビン付きの機械で作業します。
4)機械の回行に手間取る不整形部分を枕地とし、長方形状に耕作します。
5)作業に有利な形や自宅の近くの休耕地を借用して作業の効率化をはかることを検討します。

《追加のヒント》
1)機械で作業する場合は、機械の重心にも配慮します。例えば、
・作業機はできる限り下げる。
・車輪が浮かないように、重りを取り付ける。
・分担荷重が大きい側をなるべく傾斜の山側にする。

2)傾斜地に入る前に1段シフトダウンして、エンジンブレーキを併用します。
3)傾斜地で旋回する場合は、遠心力を少なくするよう、速度を落として行います。
4)路面の凸凹でも機械は転倒する危険性がありますので、注意します。
5)高い畦畔の乗り越えには、アユミ板を使用します。
6)荷物をしっかり固定します。過積載しないようにします。
7)圃場間の移動が少なくなるよう、地域で換地を相談します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

2020/11/24 更新

通路や作業台等のレイアウト改善

モノの受け渡し、運搬が最小限ですむよう通路、作業台等のレイアウトを
改善します。

《なぜ》
 作業の目的と直接関係のない“モノの移動、運搬”作業を少なくすると、
作業効率をあげられます。

 また、野菜や果物等の傷付きやすいものは何度も取り扱わない方が
品質を維持できます。
触る回数(手数)を少なくするほど、出荷後に傷みにくくなります

《どのように》
 どのような機械、作業台等のレイアウトが資材等の移動頻度と距離が
少ないか共同作業者と話し合います。

 手に抱えて運んだり、手ぶらで歩く回数や距離が少なくなるように
運搬方法を検討します。(例:運搬台車、ローラコンベヤ)

《追加のヒント》
 農道と圃場間の水路に橋をかけ、圃場間の移動距離を少なくします。

 作業ごとの受け渡し場所に、中間の生産物を一時保管する棚を設置すると、
作業者ごとの作業ペース調整や整理がしやすくなります。

 果物の調製、選別作業のように、傷付きやすいものを取り扱う時は、
なるべく触らない工夫をします。
(例:複数の工程を1人で行う。容器の詰め替えを少なくする。)

関連データ:

段差をなくしスロープにする

作業場内の段差を、小さなスロープ(坂)にします。

《なぜ》
1)運搬台車を使うと荷物を楽に運搬できます。しかし、通路内に車輪の半径以上の段差があると運搬台車は通行できません。たとえ、それ以下でも乗り越える時に運搬車がゆれて、荷崩れしたり、転倒しやすくなります。

2)人も小さな段差を見落としやすく、つまずくことがあります。

《どのように》
1)数cmの小さな段差は、三角柱状の板を置き、スロープ(緩い坂)にします。
 大きな段差は、歩み板等を使用します。そして、傾斜が5~8%程度になるようにします。(スロープの高さと長さの比が1:10~20が目安です。)

2)現状で急な傾斜のスロープは、長くして傾斜を緩くします。

3)スロープの幅は側方へ踏み外さないように、運搬台車の幅以上又は、作業者の肩幅以上にします。

4)スロープの路面は、つまずいたり、滑ったりすることがないか確認します。
 転倒する危険性がある場合は、滑り止めテープを貼ったり、スロープの前後に黄色のラインを塗ります。なお、スロープの始めと終わりの部分が段差にならないよう端を面取りしておきます。

5)引き戸の敷居が段差となることがあります。なるべく、敷居のない戸にするか、敷居の上に取り外し可能な渡り板を適宜置きます。

6)通路の脇に手すりを設置します。

《追加のヒント》
1)スロープが長くなる場合は、途中休憩用の踊り場を設けます。

2)高さ1m程度の大きな段差は、腰の高さ付近で物の受け渡しができ、逆に便利なことがあります。この場合は、活用法を検討します。

3)水路の橋、渡り板も同様に足を踏み外さないように幅に余裕をもって設置します。また、充分な強度にします。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

通路の障害物を取り除く

通路の障害(突起)物を取り除いたり、覆いや印を付けたりします。

《なぜ》
 床や地面の障害物や凹凸は、つまずき、転倒、機械を破損する等の危険性があります。
 また、障害物のない通路は、作業の流れがよくなります。

《どのように》
〔屋外〕
1)通路内の障害物(突起物)は極力取り除きます。
(例:枝を切る。杭を抜く。草刈りする。)
 取り除けない場合は、その周りに柵や1.5m程度の棒を立てます。
さらに、注意標識を設置します。(例:測量杭、水栓)
2)路面のくぼみや水たまりは埋めます。
(例:砂をまく。使い古しのカーペットを敷く。ワダチは均平板で削る。)

〔屋内〕
1)通路内の障害物(突起物)は極力取り除きます。
 (例:電源コードを壁沿いに配線。農具を壁に掛けたり、棚に収納する。)
 取り除けない場合は、タオル等を貼り、その上に目立つ色を塗ります。
 (例:機械のハンドルに布をかぶせる。)
2)敷居、段差は極力なくすか、スロープにします。
3)こぼれた油はふき取ります。または、おがくずをまき、油を吸収させます。
4)作業場の出入り口にドロ落としを設置します。

《追加のヒント》
1)通路の角はカーブミラーを設置します。
2)階段の縁には滑り止めテープを貼ります。手すりも設置します。
3)地域の危険ヵ所には棒や柵を設置します。地域で危険ヵ所地図を作り、対策を検討します。
4)防除機のブーム、コンバインの分草桿等を周囲にぶつけないよう折りたたんで走行します。
5)梨やブドウの棚は年数が立つと、たれ下がってきます。数年毎に高くすることを検討します。

関連データ:農業向けハザードマップ
引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

充分な広さの通路の確保

円滑に通行できるように充分な広さの通路を確保します。

《なぜ》
1)通路が狭かったり、障害物があると、通行時に衝突したり、つまずき、転倒の原因になります。衝突すると荷を落としたり、荷崩れして、生産物や資材を痛めることにもなります。

2)通路に物を置いて自ずから通路を狭くしがちです。

3)円滑に通行できるように充分な広さの通路を確保します。

《どのように》
〔屋外〕
1)路肩が分かるように時々草刈りします。
2)すれ違い時の安全のために道路幅を標示します。また、機械のすれ違い、回行場所を決めておきます。
3)地域の危険ヵ所には棒や柵を設置します。地域で危険ヵ所地図を作り、対策を検討します。
4)角を隅切りし、カーブミラーを設置します。
5)水路の橋、渡り板は脚を踏み外さないように幅に余裕をもって設置します。(最低限作業者の肩幅以上が必要です。)
6)路面のくぼみや水たまりは埋めます。(例:砂をまく。使い古しのカーペットを敷く等。)
7)見通しの悪い道路では、ホーンを鳴らし、周囲へ注意を喚起します。

〔屋内〕
1)人が安全にすれ違えるように、通路の幅は1.5m以上、高さは2m以上にします。
2)床に線を引き、作業区域と通路を区別し、通路に物を置かないようにします。
3)角にはカーブミラーを設置します。
4)こぼれた油はふき取ります。または、おがくずをまき、油を吸収させます。

《追加のヒント》
1)通路内の障害物(突起物)は極力取り除きます。(例:枝、杭、石、農具)
 取り除けない場合、屋内では、突起物にタオルを貼り、その上に目立つ色を塗ります。室外は1.5m程度の棒や柵を周りに設置します。
2)敷居、段差は極力なくすか、スロープにします。
3)段差や滑りやすいところには注意標識を設置します。
4)出入口にドロ落としを置きます。
5)階段の縁に滑り止めテープを貼ります。また階段の縁等に目立つ塗装をします。
6)照明を設置します。
7)夜間走行のために機械に反射シールを貼ります。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

モニタリングの方法・システム

CCPのモニタリングとその方法・システム

改善活動(リスクマネジメント)における「モニタリング」とは、
ハザードの分析リスクの見積りによって定めた CCP(重要管理点)
正しく管理されているかを適切な頻度で確認し、記録することです。

リスク低減において特に重要な工程のポイント(CCP)を決定し、
CCPを適切に管理するための CL(管理基準)(適正値)を設定します。
その上で、モニタリングの方法を設定することになります。

モニタリングのための計測機器や情報システムは必須ではありません。
生産工程の中にあるCCPとCLを適切に設定することが何より重要です。

参考:HACCP導入のための7原則12手順 - 日本食品衛生協会

※システムについては、追記予定。

2018年6月25日月曜日

脚立・ハシゴからの転落防止

労働安全:必須(脚立・ハシゴを使用する作業)
脚立ハシゴの使用に伴う、転落事故を防止する対策です。

《どのように》
 脚立・ハシゴの設置時に、最下段に両足で乗り、トントンと踏み込みます。

 昇降時、作業中に物を持たない工夫をします。かごをヒモで降ろすなど。

ハシゴ、脚立は完全なもの(破損がない)を用意します。
伸縮、折り畳み式のものは、しっかりロックして使用します。

 脚立には、開脚防止チェーンをかけます。

適正な長さのハシゴを使います。
また、壁面に対して適正な傾斜角度に掛けます。(75゜が標準)

ハシゴを掛けて力仕事をする場合は、上下を固定します
(ハウスのロープかけをして転倒した例があります。)

脚立の天板には立たないようにします。

脚立の脚に板を貼ったり、布を巻いて太くしたりすると
土に脚がめり込みにくくなります。

小さな子供が不用意にハシゴを上り下りしないようにし、
危険な場所に立ち入らないような対策をとります。柵で囲うなど。

関連データ:高所作業での安全対策小さな子供が作業現場内にいる時

2021/12/22 更新

大雨や台風の時は見回り厳禁

《なぜ》
大雨や台風の時に、水田や集落を熟知している農家の方が「ちょっと見てくる」と言って、農業用水路などに転落する被害に遭っています。

《どのように》
雨が降っているときには、田畑や水路に近づかないことを徹底します。

天気予報を見て、大雨の前に水門を開閉するなどして備えます。

地域で話し合いをして、天気予報や雨雲の動き、危なかった経験などを報告します。

参考:見回り厳禁 大雨時の田畑、水路 予報確認、備え事前に - 日本農業新聞

交差汚染の防止

交差汚染(こうさおせん)とは?

食中毒予防の3原則は、病原菌を「付けない」「増やさない」「排除する」。
交差汚染」とは、作業工程の中で、病原菌、毒物、異物などを、意図せずに付けてしまうということです。汚染度の高いものが汚染度の低いものに接触することによって交差汚染は起きます。
交差汚染の防止の基本的な考え方は、食品そのものや食品に使うものを、汚染度が高い可能性のあるものに接触させないように、時間的、空間的に隔離するということです。

ASIAGAP、JGAP「農場用 管理点と適合基準」によると、
「作業者、機械・器具、水、空気等の移動によって、微生物汚染、農薬汚染、異物混入等が起きること。」

英語では、"cross contamination"

関連データ:収穫物の運搬時の汚染
参考:交差汚染 - HACCP関連情報データベース
   JGAPの基準書 - 日本GAP協会
   三重県 食品衛生:衛生管理のポイント構造設備上のポイント
   特に、汚染作業区域と非汚染作業区域の区別について。

2018/11/20 更新

2018年6月20日水曜日

機械の操作方法を共同作業者に教える

機械の危険箇所や、非常時に備えて操作方法を共同作業者にも知らせます。

《なぜ》
1)機械の運転者は操作方法や危険ヵ所を知っているのは当然ですが、
 安全のために共同作業者にも知らせる必要があります。

2)実際にトラクタのロータリに運転者が巻き込まれたときに、一緒に
 作業していた女性がエンジンを止めて、迅速に救出した例があります。

3)機械によって操作方法、エンジンの停止方法が異なり、
 各々について確認しておく必要があります。

《どのように》
1)作業前の打ち合わせで機械の危険カ所や合図について確認します。

2)また、エンジンの停止方法を共同作業者にも教えます。
 できれば基本的な操作方法、トラブル時の対処方法も教えます。

3)新しく機械を購入した場合は、引き渡し時に、
 販売員から機械のエンジンの停止方法、基本的な操作方法、
 トラブル時の対処方法を教えてもらいます。

4)取扱説明書を機械の中に収納するか、
 携帯工具と一緒に持ち歩くようにします。

5)機械に異常を感じたらエンジンを停止してから点検するように
 習慣づけます。
 (最近は大型化して力が強い機械が増えました、
  一旦巻き込まれると重大な事故につながります。)

6)実際に事故が起こった場合は、まず落ち着いて、何が先決か判断します。
  いろいろな対処方法がありますが、
例えば、
・大声で周囲に助けを求める。
・エンジン、電源スイッチを切る。
・クラッチを切る。
・ロータリを上げる。
・逆転変速のあるものは逆転させる。
・機械を移動させる。
・救急車を呼ぶ。
・カバーを開ける。
・止血や人工呼吸等救急処置を施す。

《追加のヒント》
1)救命処置法の講習を消防署に依頼して実施します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

反射板や反射シールを機械に貼る

労働安全:重要
夜間の安全のために反射板、反射シールを機械に貼ります。

《なぜ》
1)農道整備がすすみ、圃場間の移動や荷物の運搬がしやすくなった反面、交通事故が近年増加しています。事故の種類は、自動車との衝突、落下、ひかれが主です。
 事故例として、ロータリを装着したトラクタを自動車が追い越そうとしたときに、ロータリの幅が分からずに衝突したといったものがあります。

2)もし、トラクタが作業機を装着していたり、路上走行できない機械が路上で事故に巻き込まれると、積載違反や整備不良車で加害者となる可能性があります。

3)農道は、作物の生育の都合上街灯がないことが多く、夜間はかなり危険です。

4)自衛策として、反射シールを機械、作業機、作業服へ貼り、自動車の運転手に早く気付いてもらいます。ドロで見えなくなるので意味がないという意見もありますが、たくさん貼れば、目立つ確率が高くなります。

《どのように》
1)機械本体や作業機の後部に反射シールを貼ります。特に車幅の分かる位置に貼ります。また、低速車マークを機械本体の見やすい位置に貼ります。

2)けん引車へも同様に反射シールを貼ります。トレーラに牧草等を積載して反射シールが見えなくなる場合は、反射シールを貼った板を後部にぶら下げます。

3)ヘルメット、作業服にも貼ります。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

機械の点検・整備

機械を定期的に点検整備します。

《なぜ》
1)機械の故障は忙しい作業中に起こりやすく、サービスマンを呼ぶと、時間と経費の無駄になります。

2)機械の点検整備は地味な作業で、省略しがちです。しかし、機械を定期的に整備すると、作業中の故障を減らし、機械を長持ちさせることができます。また、消耗品も定期的に交換すると機械の性能を発揮できます。

《どのように》
1)取扱説明書に沿って始業・終業時、格納時、シーズン前に点検・整備します。

2)点検シート運転日誌を作ります。カレンダーに点検日を記入し、定期的に実施します。

3)整備しやすい工夫をします。例えば、
(1)点検・整備時期を機体に記入します。
(2)エア抜きキャップや掃除口には見易い色をぬります。
(3)耕うん爪等の消耗品は、型紙を作製して、それより磨耗したら交換します。
(4)チェーン、ベルトの張り具合の目安を機体に書いておきます。

4)年1回認定工場等で機械を点検、整備をしてもらいます。

5)消耗品は多めに購入しておきます。

6)格納時の整備は、
(1)燃料補給
(2)ストレーナ清掃、フィルタ交換(ストレーナ取付け時は、エア抜きを必ず行います。)
(3)エアクリーナ、ラジエータ掃除
(4)オイル、オイルフィルタ交換
 (ならし運転期間は最初の50時間、それ以後は100時間毎が原則ですが、年1回が目安です。)
(5)洗車(特に、ベアリングの周りに巻き付いたワラ、土は完全に取り除きます。)
(6)注油、グリスアップ(チェーン、ベアリング、ギヤ等、3P微調節ネジ等に注油します。また、注入口全てにグリスアップします。)
(7)サビ止め(刈刃、耕うん爪等に廃油を塗っておくと、錆止めになります。)
(8)バッテリー充電
 (夏は月1回、冬は2ヶ月に1回バッテリーを充電します。充電しない場合は、マイナス(―)端子をはずしておきます。)

《追加のヒント》
1)部品箱へ機械名を書いたり、色分けしておくとより探しやすくなります。
2)取扱説明書は、ビニール袋に入れ、機械内に入れておくか、携帯工具と一緒に携帯します。
3)その他、エンジンを長持ちさせるために、エンジンを一度始動させたら最低20分エンジンを切らないようにします。
4)コンバイン、乾燥機は、異種混入やネズミ防止のための掃除、自動化装置の点検も重要です。
5)自動車の洗車用高圧洗浄機を使用するとドロ落としが容易にできます。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

2020/9/23 更新

機械の格納庫の整備

機械の移動や点検整備がしやすいように格納庫を整備します。

《なぜ》
 格納庫では、機械整備時のはさまれや、不安定な床でジャッキが転倒し下敷きになったり、排ガス中毒事故の危険性があります。
 また、新しい機械を購入すると、格納庫の入口が小さくて中に入れずに空間をむだにしてしまうこともしばしばあります。
 これら対策のために、格納庫を整備し、整頓することが大切です。

《どのように》
1)格納庫の床をコンクリートで舗装します。そうすると安定してジャッキアップできます。その上、掃除が楽です。

2)後退時の衝突防止のためにポール、または、車輪止めを設置します。
 (各作業機の幅、奥行きが異なるので、後退できる限界をポールで示した方が安全です。)

3)電灯を設置します。この時、電源スイッチは入り口近くに設置します。最近は、センサ付で、自動点灯するものもあります。

4)電源コンセントを設置します。

5)屋根の高さ、出入口の高さ、幅は余裕をもって作ります。そうすると将来、大型の機械に更新しても対応できます。
 また、出入口の回りは目立つ色で塗装します。

6)換気のために窓や換気扇を設置します。これは排気ガスやバッテリー充電時の有害ガス充満の防止になります。

7)整理棚を設置し、工具箱、消耗品を整理整頓します。

《追加のヒント》
1)多少の機械加工ができるように、ドリル、万力、溶接機を備えます。

2)入口にカーブミラーを設置します。

3)機械の燃料の補給口が高くても補給しやすいように、大きめの踏み台を用意する等の工夫をします。

4)作業機をキャスタ付きパレットに載せて保管すると、格納庫内の整理やトラクタへの装着が安全で簡単にできます。

5)ロータリの爪交換やコンバインの刈刃の交換等で機械の下へもぐる時は、安定した場所でジャッキアップし、油圧ロックを掛け、落下防止の支えを入れます。

6)点検日をカレンダーに記入し、定期的に機械を整備します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

堆肥の流出の防止

食品安全:必須 環境保全:必須(堆肥を保管する場合)
家畜糞尿を原料とする未処理の堆肥が流出していないか確認します。

《なぜ》
流出した堆肥が圃場の農作物と接触することで、
農作物が病原菌等に汚染される可能性があります。
周辺環境や河川に流出すれば、悪臭、病原菌汚染、富栄養化などの
原因になります。

《どのように》 良い例・悪い例の写真
堆肥の保管場所は、なるべく圃場や水路から離れた場所にします。

屋根や排汁溝の設置、不透水性のシートによる被覆等により、
堆肥や排汁が圃場や水路を汚染しないようにします。

定期的に清掃し、家畜ふん堆肥やその原料が散らからないようにします。

冠水の防止や処置については、地表水の流入による汚染 を参照。

引用:GAP取組支援データベース - 農業ナビゲーション研究所

2020/04/30 更新

動物(害獣)の侵入防止

食品安全:必須 効率化:必須 防犯:重要
圃場、施設、倉庫や、水源に、動物の侵入がないか確認します。

《なぜ》
動物の侵入があると、住みついたり、排泄したりして、
衛生上好ましくない状況になります。
農産物や作業場が病原微生物に汚染される原因になります。
また、動物の食害による作物の被害も多く発生しています。

《どのように》 良い例・悪い例の写真1写真2

動物侵入の痕跡がないか、日常的に確認します。
ペットの持ち込み、野生動物の侵入、糞便の放置がないようにします。
建物に、小動物が入れる隙間がないか、確認します。
圃場等への動物侵入防止のため、電気柵も)を設置します。

収穫物の残り(残さ)は放置しない
(クズ野菜などの放置は野生動物の格好のエサ場となる)
耕作放棄場や農地周辺のヤブや草むらを刈る
(野生動物の通り道や隠れ場をなくす)
倉庫や作業場の開口部分にはカーテンを設置し、
有害鳥獣やペットの侵入を防ぐ。
倉庫や作業場の戸締りを忘れない。(不在時にはカギをかける)
作業場にネズミ捕りを設置する。(定期的にモニタリング)

作物の食害痕跡を発見した場合は↓こちらで加害鳥獣を検索。
鳥獣害痕跡図鑑 - 農研機構 中央研 鳥獣害グループ

引用:
食品の安全を確保する - これから始めるGAP - 農林水産省
GAP取組支援データベース - 農業ナビゲーション研究所
関連データ:クマなど危険動物の被害防止
アライグマの食害のイラスト
2021/02/10 更新

2018年6月15日金曜日

チェーンソーの安全使用

労働安全:必須(チェーンソーを使用する作業)

《なぜ》
林業における労働災害は チェーンソー に起因するものの割合が高く、休業4日以上の労働災害の約2割を占めています。また、死亡災害についてみると、伐倒方法が不適切であるなどチェーンソー作業に関係するものが約6割に達しています。

《どのように》
保護具等は、防護性能が高いもの、作業性能がよいもの、視認性が高いもの、
人間工学的に使いやすいものを着用します。
保護具の種類:
防護ズボン、衣服、手袋、安全靴、保護帽、保護網・保護眼鏡・防音保護具(耳栓)

木の伐採では、周囲の者が下敷きにならないよう木が倒れる方向に注意します。

参考:
チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン - 厚労省
チェンソー作業のリスクと保護具 - 森づくり安全スポット情報 FLC
チェーンソーの安全作業 - 日本チェーンソー協会

2018年6月14日木曜日

工具や消耗品の常備

工具や消耗品を常に準備しておきます。

《なぜ》

1)機械の故障は忙しい作業中に起こりやすく、サービスマンを呼ぶと時間と経費がかかります。消耗品(ベルト、ピン等)を常備しておくと迅速に修理できます。

2)決まった場所に消耗品、工具を保管しておくと、紛失防止と探す時間のロスを少なくできます。

《どのように》

1)工具は、携帯用と格納庫での整備用を分けて管理します。
 格納庫内用は工具毎に棚、フック等に収納します。携帯用はなるべく1つの工具箱に収納します。

2)収納する方法は、棚、引き出し、ラック、透明容器、ワゴン、壁のフック、天井からの吊り下げ等使いやすい工夫をします。

3)壁や板に吊り下げる場合は、工具の輪郭を壁に書いておきます。こうすると、収納場所を間違えず、紛失した場合もすぐ分かります。また、工具名を書いておくのも有効です。

4)スパナやドリルビット(ドリルの刃)等の似たような形の工具は大きい順に並べておきます。こうすると作業に合ったサイズを見つけるのが速くなります。

5)工具を色分けすると、整理しやすくなります。

6)ひんぱんに使うものを手の届きやすい位置に収納します。

7)キャスタ付きの台に工具を収納すれば、格納庫での作業がよりスムーズに行えます。

8)消耗品(ベルト、ピン、替え刃等)は多めに購入して保管しておきます。

9)消耗品は、機械ごとに分けて箱に入れ、機械名を書いておきます。

《追加のヒント》

1)使いやすい工具を購入します。また、スパナ、ドライバはネジに合わせられるようにいろいろなサイズのものを準備します。

2)工具の正しい使用方法、刃物の研ぎ方、電動工具の整備方法等を習得します。

3)クワ、鎌、スコップ等の農具も同様に整理して収納します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

農薬適正使用チェックシステム

農薬適正使用チェックシステム(リンク集)

◎JA、農業生産法人向け(利用登録が必要)

農業ナビ - NPO法人農業ナビゲーション研究所

農薬検索システム  - イーサポートリンク(株)

アピネス / アグリインフォ - JA全農

◎個人農家、家庭園芸向け(無料で利用可能)

農薬登録情報検索クライアント ACFinder

農薬検索アプリ - アグリノート

農薬インデックス

静岡県農業試験場作物病害虫防除指導検索システム

◎農薬登録情報の検索

農林水産省 農薬登録情報提供システム

農薬情報 - 独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)
 農薬登録情報提供システム 農薬登録情報ダウンロード

JPP-NET 農薬登録情報検索データベース (有料会員登録制)

2022/02/22 更新

手持ち動力工具・可搬型農業機械

手持ち動力工具、可搬型農業機械を安全に使用します。

《なぜ》
 農作業では刈払機、チェーンソー、電動ドリル等の手持ち動力工具(農業機械)をよく使用します。これらは、人力より能率的に作業できる反面、ケガをする危険性も高くなります。実際に刈払い機を使用中に、刈刃が破損して大ケガをした事例があります。動力工具を使いこなすには高い技能と安全作業の知識が必要です。

《どのように》
1)購入時に取扱説明書をよく読みます。さらに、取扱説明書を機械と一緒に携帯します。
2)熟練者に正しい使用方法を指導してもらいます。

3)使用前に刃の異常磨耗や亀裂がないことを確認します。また、刃物はこまめに研ぎます。

4)保護メガネ、耳栓、手袋等の保護具を着用します。(機械に巻き込まれる危険性がある場合、手袋は着用しません。)また、切りクズ等が飛散する方向を避けて作業します。

5)緊急停止スイッチの作動の良否を確認します。もし、不良であれば販売点に修理してもらいます。

6)足場の良いところで作業します。また、きつい姿勢になったり材料のバタつきがないように作業台、ジグ等を工夫します。

7)故障したり、作物等を除去する時には、エンジン、電源を必ず止めます。

8)キックバック(機械を材料に当てたときに跳ね返されること)しないように両手で機械を保持します。

9)目的外使用や機械に無理させないようにします。

10)振動、騒音が小さい回転で使用します。電動式機械は、以下の点にも配慮します。

11)電源コードを誤って切らないように取り回しに注意します。

12)スイッチが短絡して動き出さないようコンセントを抜いて点検整備を行います。

13)感電や火災に対しても注意します。主な機械の注意事項は、

《追加のヒント》
 消耗品を現場に持参しておくと修理や調整の時間を少なくできます。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

刈払機の安全使用

労働安全:必須
刈払機草刈機)を安全に使用するには

《なぜ》
雑草の刈払作業では、切断した草、小石等がたくさん飛んできます。
また、草むらの中には、異物が隠れていることがあります。
万が一のために、自身も保護具で守りましょう。

《どのように》
防護めがね手袋すね当て安全靴などの保護具を着用します。

滑りやすい傾斜地には、法面途中に足場や小段を設けておきます。

 作業しやすいように肩掛けバンドやハンドル位置を調整して、
 重量バランスを良くします。

 背負型では非常時にすぐ機体から離脱できるように訓練しておきます。

 移動時には、エンジンを停止し、刈刃カバーを付けます。

 始動時には、刈刃が回っても機械に振り回されないように刈刃を浮かせ、
 しっかり固定してから行います。

 飛散物防護カバーは必ず取付けます。

 作業現場の異物(石、空き缶、杭など)を除去してから作業します。

 作業者は、周囲の人を誤って切断したり、
 人のいる方向に切りクズが飛散しないように注意します。

 刈刃が作業者のヒザより低い位置で作業します。

 消耗品を現場に持参しておくと修理や調整の時間を少なくできます。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター
   刈払機 農作業安全ポイント
参考:草刈機の事故と安全対策 - 農林水産省・日本農村医学会 (PDF)
   刈払機 安全啓発チラシ 農作業安全リスクカルテ (PDF)
   刈払機(草刈機)の使い方に注意 - 国民生活センター

刈払作業では保護具を着用!
2020/12/24 更新

2018年6月13日水曜日

燃料用の貯蔵場所の確保

燃料用の貯蔵場所を用意し、カギをかけ管理します。

《なぜ》
1)燃料の取扱に当たっては、火災、爆発の危険性が高く注意が必要です。
 また、農業で多く使用されているガソリン、軽油、灯油は第4類危険物として、貯蔵施設、取扱資格等、法令で規制されています。
 詳しくは、法令、研修テキストをご参照ください。

《どのように》
 燃料は火災の危険性が高いので、以下の点に配慮して取扱います。

■燃焼の3要素である燃料、酸素、点火源(熱源)が結びつかないようにする。

■火事の被害が最小限になるようにする。
■環境を汚さないようにする。
具体的には、

(1)大量に貯蔵しないようにします。
(2)貯蔵する建物は、耐火構造、不燃材料で造ります。(不燃材料:コンクリート、レンガ、石綿板、鉄鋼、アルミニウム、モルタル、しっくい等)出入り口には防火戸を設けます。気化ガスが溜まらないように低い位置に換気口を取り付ける。(ほとんどの燃料の気化ガスは空気より重く、低いところに溜まります。)

(3)消火器を揃えます。(油火災対応のABC消火器が適切。)

(4)貯蔵場所に一般人や子供の立ち入りを禁止し、カギをかけます。

(5)燃料の貯蔵場所で火気や高温のものの取扱いは厳禁です。(例:ストーブ禁止)

(6)貯蔵容器に直射日光が当たって加熱されないように遮光します。

(7)気化ガスが滞留しないように常に換気します。(ガソリン等の燃料は室温で蒸発しやすく、空気と混ざると爆発や火災のおそれがあり危険です。)

(8)燃料などのもれ、あふれ、飛散は直接災害の原因になるので、配管の接続部、注入口からのもれ、あふれに注意します。

(9)床にこぼれた燃料はふき取ります。

(10)こぼれた燃料が河川や周囲の環境を汚さないように、貯蔵場所の周囲に防油堤や溝を設置します。

(11)燃料のある所では火花を発する機械、工具を使用しません。夜間の取扱いには、懐中電灯を使用します。

(12)静電気が発生しやすい服装(羊毛セーター、化学繊維)をしないようにします。

(13)掃除をして周囲の不必要な可燃物(ボロ、くず、ほこり等)を取り除きます。

(14)燃料容器は不燃性のものを使用します。(静電気で火災の危険性があるため、10リットルを超えるポリ容器でガソリンを保管することは禁止されています。)

(15)ゴミを焼却する時は、風向き等安全に配慮して行います。

(16)機械に給油する時は、エンジンを停止してから行います。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

燃料の取り扱いの基本

燃料の管理、取扱い方法を習得し、資格を取得します。

《なぜ》
1)ガソリン、軽油、灯油等燃料は、火事や爆発を引き起こす危険性があります。
 よって、安全に貯蔵し、取扱うために、危険物取扱者等の資格、貯蔵場所の認可が必要です。
 詳しくは、法律、指導テキスト等をご参照ください。

《どのように》
1)市販の危険物取扱者の研修テキストで燃料の貯蔵、取扱い方法を習得します。

2)危険物取扱者の資格を取得します。
 (地元の消防署、消防出張所、各都道府県の消防試験研究センターで受験手続きを問い合わせます。)

3)資格取得者が燃料を取扱ったり、貯蔵所を管理します。

4)適切な貯蔵施設を建設し、必要に応じて認可を受けます。

5)注意事項を貯蔵所、作業所内に掲示します。

6)緊急時に備えて、家族へも危険性や管理方法、消火方法等教育します。

《追加のヒント》
1)消火方法や救命処置法について講習を消防署へ依頼して実施します。

2)万が一に備えて火災保険に加入します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

収穫物の運搬時の汚染

《なぜ》
収穫物が運搬時に、土、汚水、異物、病原菌などに汚染される
可能性があります。

《どのように》 良い例・悪い例の写真

収穫物は、できるだけ他の資材と混載して運搬しない。
できれば、収穫物専用の運搬車を用意する。

どうしても混載する時は、収穫物と他の資材を入れる容器を必ず分ける。

収穫物を運搬する時は、雨や埃などに触れないようにする。
カバーをかける、ふたのある容器にする、屋根付きの車にするなど。

収穫物を入れる容器は、収穫作業の前に洗浄する。

関連データ:交差汚染の防止収穫用の容器の取り扱い
引用:GAP取組支援データベース - 農業ナビゲーション研究所

2020/04/30 更新

小さな子供が作業現場内にいる時

労働安全:重要 防犯:重要(加害者、被害者にならないために)
小さな子供が作業現場内にいる時は安全と健康について注意を払います。

《なぜ》
 農業現場は、生活現場と同じ事が多く、思わぬ危険が潜んでいます。
 したがって、小さな子供が農作業現場内にいる場合は、
 監督者である親は子供の健康、安全等に細心の配慮が必要です。

《どのように》
1)作業現場内の危険箇所や注意事項等を事前に教えます。

2)ハシゴや側溝等危険ヵ所には囲いや標識を設置します。
ライター、機械等の危険な物は子供の手が届かないところに保管します。

3)作業を手伝う場合は大人と組み合わせるか、
 目の届く範囲で一緒に作業します。

4)重い荷物は持たせないようにします。

5)夜遅くまで(午後8時以降)作業させないようにします。

6)機械操作は、大人が行います。
 農具も使用方法等を十分訓練してから作業を行わせます。

7)免許や資格が必要な作業を子供がすることを禁止します。

《追加のヒント》
1)団らん時に農作業安全等について、家族と話し合います。

2)農薬散布現場には、子供を近づけないようにします。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

2021/09/08 更新

洗い場や休憩場所の設置

労働安全:必須 食品安全:必須 環境保全:重要 効率化:重要
自宅から遠くにある圃場や作業場に洗い場や休憩場所を設置します。

《なぜ》
 機械や体についた農薬やドロを洗い流すのに水場はかかせません。また、夏の暑い作業で失われた水分の補給をしたり、日陰に入って暑さを避けることは重要です。

 圃場整備後に、休憩できる畦場や木陰がなくなることがあります。

《どのように》
1)水飲み場、洗い場を設置します。
ただし、糞尿や農薬で汚染されそうな場所は水を持参します。

2)水場には石けん、洗剤を備えます。
 関連:正しい手洗いの手順

3)日光や暑さ、寒さをしのげる休憩所を設置します。
 関連:作業環境の暑さ対策、熱中症の防止作業環境の寒さ対策

4)可能であれば、冷暖房施設、トイレ、ゴミ箱、救急箱等を設置します。
定期的に清掃します。
 関連:トイレの確保

 パイプライン給水方式にすると、圃場付近で苗箱や機械等の洗浄がしやすくなります。

《追加のヒント》
1)複数グループが共同で休憩所を使用すると気分転換やコミュニケーションにも役立ちます。

2)休憩所はいたずらされないように、不在中はカギをかけられるようにします。

3)水場が近くにない場合は、水を持参するか、水中ポンプを用意して側溝からくみ上げられるようにします。

4)汗で失われた水分補給のために冷やした水やスポーツ飲料も持参します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

2021/12/16 更新

廃棄物の適切な処分

環境保全:必須 効率化:重要(栽培管理作業)
農業副産物廃棄物を分別して適切に処分します。

《なぜ》
 現代において環境問題は深刻な問題です。農業分野でも、野菜クズやマルチシート、肥料袋等大量の副産物や廃棄物が発生することがあります。
 再利用するほか、分別して収集することにより、再資源化できる物も多くあります。

プラスチック系の廃棄物を焼却すると、ダイオキシン等の有害物質が発生することがあります
関連データ:野焼きはなるべくしない

生ゴミや作物残さを放置すると、悪臭を発したり、害虫や病原菌が繁殖したりすることがあります

《どのように》
 廃棄物の再利用方法(リユース)を検討します。
 (例:機械を再利用する、部品取りにする、
  家畜糞尿と稲わらを農家間で交換する、堆肥肥料にする等)
[注意] 農薬の空容器の再利用は、誤飲事故の危険性があり厳禁です。

 処分する場合は、自治体ごとに分別、処分方法が異なります。
 処分方法を自治体、販売店、産廃業者等に問い合わせ適切に処分します。

 分別して廃棄できるように、複数のゴミ箱(袋)を用意します。

廃棄物や作物残さは、圃場、施設、道路やその周辺に放置しないようにします。

病害虫の発生を抑えるためにも、栽培終了後には圃場の後片付けを適切に実施します。

《追加のヒント》
 生ゴミを放置すると悪臭を発したり、ハエ等が繁殖したりすることがあります。
 これらを防止するために、フタ付きのゴミ箱を用意します。

 プラスチック系の廃棄物は、焼却するとダイオキシン等を発生するものとしないものがあります。ダイオキシンを発生しないものを極力使用します。

 まとめて購入すると、梱包資材(袋、ヒモ等)が少なくできることがあります。

自治体指定のゴミ袋を使う場合、ゴミ袋がちょうど入る大きさ(30Lや40L)のゴミ箱を用意すると、ゴミ袋の付け外しがしやすくなります。

施設栽培では、細かな農業資材(クリップ、針金、結束帯など)を使用するので、栽培中の農作物に入り込んだり、収穫物に紛れ込むことがないように、注意します。
プラスチック、ビニールなどの樹脂類は、紫外線などの影響により脆く、細かくなりやすく、注意が必要です。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター
※廃棄物の再利用や処分先の例あり(機械、紙、プラスチック、廃油、バッテリ、農薬ビン・容器、生ゴミ(野菜くず・剪定枝等))

参考:環境を保全する - これから始めるGAP - 農林水産省
   GAP取組支援データベース - 農業ナビゲーション研究所

2022/11/14 更新

トイレの確保

食品安全:必須 労働安全:必須 環境保全:必須 効率化:必須

トイレが、作業現場の近くにある必要があります。
 トイレでない場所で用を足すことは厳禁です

《どのように》
作業者が多い作業所には、十分な数のトイレを設置します。

トイレには、手洗い場(洗浄剤、タオルも)を必ず確保します。
関連データ:正しい手洗いの手順

トイレを定期的に清掃します。そうじ当番を決めておきます。

離れた場所に圃場等がある場合は、最寄りのトイレがある場所
(コンビニ、スーパー、公園など)と所要時間を確認しておきます。

《追加のヒント》
圃場など、上下水道がない場所には、水道や汲み取りが不要な
「バイオトイレ」の設置を検討します。→バイオトイレ - Wikipedia
参考:低コスト・長期くみ取り不要の農地用トイレ - マイナビ農業

関連データ:洗い場や休憩場所の設置

参考:洋式便器の使い方のイラスト(例えば外国人実習生向けに)

2021/12/16 更新

農薬使用時の保護具の使用

労働安全:必須
農薬調製、散布に当たっては、マスク、眼鏡、手袋等適切な保護具を使用します。

《なぜ》
1)農薬を取り扱う時、(1)口から飲み込む、(2)目に入る、肌につく、(3)揮発ガスを口や鼻から吸引する危険性があり、防除衣、マスク、手袋等着用する必要があります。

2)保護具は、機械等に比べて安価で、長期間使用できます。また、農薬の剤型、成分により、適切なものを選び安全に作業します。

《どのように》
1)農薬ラベルの注意マークの指示に従い保護具を使用します。

2)保護具の取扱説明書に従い、正しく使用します。

3)使用後は、保護具を清掃し、決まった保管場所に保管します。
 以下、防除衣マスク保護メガネ手袋について解説します。

〔防除衣〕
 選択のポイントとして、(1)防水性がよい、(2)通気性がよく蒸れない、(3)生地が軽く軟らかい、(4)汚れ落ちがよい、(5)耐久性がよい、(6)撥水性がよく農薬が附着しにくい、(7)毛羽立ちしない、(8)洗濯しても防水効果がなくならない。最近は、蒸れにくいゴアテックス素材の防除衣が販売されています。

〔マスク〕
 農薬の形態、成分によって、マスクを選択する必要があります。
粉剤、粒剤、水和剤、乳剤、液剤:保護マスク(農薬マスク)(=防じんマスク)を使用します。

土壌くん煙剤の臭化メチル、クロルピクリン、DDVPなどのガス化しやすいもの:防護マスク(=防毒マスク)を使用します。なお、吸収缶は成分にあったものを使用します。

注 意 通常の農薬用防護マスク吸収缶は酸欠に対しては効果がありません。消防用または、一酸化炭素用を使用します。なお、手ぬぐい、ガーゼマスクはほとんど捕集効果がありません。

 その他の選択のポイントとして、(1)自分の顔に合い顔との間に隙間がない、(2)保護眼鏡との併用ができる、(3)面体が唇に直接ふれないように内側の空間が充分ある(4)ゴムヒモ等で固定できる、(5)薬剤にあった吸収缶がある(防護マスクのみ)
参考:農薬用のマスクの種類 - 農作業安全情報センター

〔保護メガネ〕
 ゴーグル形で、曇止め加工されたものを使用します。また、マスクが邪魔になったり、呼気で曇らないか確認します。

〔手袋〕
 ゴム手袋やビニール手袋を使用します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター
農薬使用時の保護具
2020/06/23 更新

農薬の調整・散布

農薬調製、散布に当たっては正しく取扱います。

《なぜ》
農薬は程度の差はありますが人体や周辺環境に害を及ぼす危険性があり、
取扱いに注意が必要です。

《どのように》
 以下の点に配慮して農薬を取扱います。
■農薬が人体に触れたり、吸い込んだりしないようにする。
■周囲の環境を汚さないようにする。
■体調にも配慮する。

具体的には、

1)調製時、散布前
(1)ラベルの表示事項は必ず読みます。
(2)専用の容器を使用し、亀裂、破損にも注意します。
(3)決められた濃度・使用量を守ります。
(4)体調を整えます、悪い場合は中止します。
(5)保護衣・保護具を着用します。
(6)防除機具の点検・整備をします。

2)散布作業中
(7)散布作業は涼しい時間帯に行います。
(8)風のない時間帯に散布します。
(9)圃場外に農薬が飛散したり、湖沼に流れこんで
 周辺環境を汚さないように注意します。
(10)連続散布作業に休憩をはさみます。
(11)作業中の喫煙・飲食はさけます。
(12)タオル、水を現場に持参します。
(13)体に異常を感じたときは医師の手当を受けます。

3)散布作業後
防除器具の薬液タンク、ホース、噴頭、ノズル等、
残留性がある箇所に特に注意して、十分に洗浄します。
(14)残った農薬の処理を確実にします。
(15)空容器を適切に処分します。
(16)防除衣、身体をきれいに洗います。
(17)飲酒をひかえて早く寝ます。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター
参考:農薬使用のチェックシステム (リンク集)

農薬の保管

農薬の保管庫を用意し、カギをかけて管理します。

《なぜ》
 農薬は人体や周辺環境に害を及ぼす危険性があり、
取扱方法、貯蔵方法等に注意が必要です。
 詳しくは、法令、研修テキストをご参照ください。
 ここでは日常管理において特に注意すべき事項について述べます。

《どのように》
 以下の点を配慮して農薬を取扱います。
■人の体に農薬が触れたり、吸い込んだりしないようにする。
■周囲の環境を汚さないようにする。
■化学変化を起こして害を及ぼさないようにする。

具体的には、日常の注意事項を以下に示します。
・必ず容器のラベルを読み指示に従う
・保管場所にはカギをかける
・保管場所は直接日光の当たらない、冷涼・乾燥した所にする
・容器の移し替えは絶対にしない
・除草剤は他の農薬と離して保管する
・有効期限内に使用する

粉剤、水和剤などドライな農薬は、液剤や乳剤などのような液体より上に保管する
農薬の流失防止のためにコンテナトレイ(液体を十分に受け止められる容積のもの)に薬剤を保管する
施錠できる保管庫に保管する
農薬によっては引火性のあるものもあるので、金属性の保管庫に保管(事務ロッカーでも可)する
流出したときのために塵取り、ほうき、砂(または米ぬか等)を常備しておく。流出したときは砂または米ぬかで農薬を付着させて薬剤を回収する
保管庫がある部屋は農薬のラベルが十分に読める明るさにする
立ち入りができる保管庫の場合、換気が十分できるようにする
保管庫が異常に高温にならないよう置く場所に注意する
もともと薬剤が入っていた容器で保管し、決して他の容器には入れ替えない

引用:食品の安全を確保する - これから始めるGAP - 農林水産省
保管庫内で液剤がこぼれ、棚の下にあった粉剤が使えなくなった事例も。

《追加のヒント》
1)農薬の取扱い、使用法について、各都道府県病害虫防除所、農業試験場等へ問い合わせます。
2)毒物劇物取扱については、全国都道府県の保健部・薬務課へ問合せます。
3)容器のラベルの字が小さく、読みにくい場合は、虫メガネを用意します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター

農薬の取り扱いの基本

農薬の容器ラベル、取扱説明書をよく読み、正しく管理、使用します。

《なぜ》
 農薬は人体や周辺環境に害を及ぼすことがあります。

《どのように》
 使用前に農薬容器のラベル取扱説明書をよく読み、正しく使用します。
 (前と注意内容が変わっていることがあります。)

 ラベルの文字が小さく読みにくい場合は、虫メガネを用意します。

 農薬取扱者を決め、管理させます。

 他の者が使用できないように保管庫を用意し、カギをかけ管理します。

 安全データシートSDS)を必要に応じて製造メーカから取り寄せます。
安全データシート:薬剤毎に危険性、応急措置、取扱い保管上の注意等を
 詳しく解説した資料。製造メーカに常備されている。)

もし可能であれば、農薬適正使用チェックシステム を導入します。

引用:農作業現場改善チェックリスト - 農作業安全情報センター
 ※農薬の「注意喚起マーク」の解説あり
参考:農薬工業会 ラベルの表示事項、注意喚起マークの種類・内容

更新 2018/10/09

2018年6月11日月曜日

スズメバチなど虫による刺傷事故

ハチ刺されの事故は、8~9月に集中。働きバチが増えてくるため。
刺された場合、アナフィラキシーショックに注意が必要です。
ハチに刺されるおそれがある活動をどうしてもする時は、
吸引器(ポイズンリムーバー)、虫刺され薬(抗ヒスタミン剤)や、
応急処置用の自動注射器「エピペン」を携帯するとよいです。

《どのように》
森林での作業では、長袖、長ズボンを着用する。
スズメバチは黒いものに攻撃するため、白や黄色の服装や帽子を着用する。

森林での作業では、殺虫スプレーを携帯する。

スズメバチに襲われたら、できるだけ遠くに逃げる。

ハチに刺されたら、1.毒を取り除く(ポイズンリムーバー)。
2.傷口を冷やす。3.薬を使う。

ハチ毒アレルギー体質の場合は、ハチと接するおそれのある作業を控える。
可能ならば自動注射器「エピペン」を携帯する。

 養蜂で巣箱を取り扱う際は、油断することなく防護具を適切に着用する。

 毛虫やムカデなど毒を持っていそうな虫を作業場で見つけた時は、
(虫の種類がよくわからなくても)素手でさわらずに取り除く。

参考:
森林レクリエーションでのスズメバチ刺傷事故を防ぐために (PDF)
森林総合研究所
野外でスズメバチに出会ったら - 体験・遊びナビゲーター
都市のスズメバチ ※スズメバチの図鑑、対処法など
ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチ、アリによる刺し傷(症状・治療)

怖い蜂のイラスト蚊に刺された人のイラスト

2020/07/21 更新

2018年6月4日月曜日

農業向けハザードマップ

農業に役立つ「ハザードマップ」とは、
農場内の圃場、設備や、周辺道路などにおける
事故や違反の危害要因(ハザードを見つけて、
地図上に記録したものです。

紙の地図にハザードのある場所を手書きで記入してもよいですが、
Googleマップに記録すれば屋外でもスマートフォン等で確認できます。

農業向け「ハザードマップ」の例:

2019/7/19 更新

生産工程特性要因図の利用

生産工程(栽培工程)特性要因図 とは

農業の生産工程における事故や違反の危害要因ハザード)を
見つけ出して記録するために使用する図(表でもよい)。
リスクアセスメントの基本手順のうち「ハザードの特定」に用います。

特性要因図(通称:魚の骨)はもともと、工場等における
品質管理(QC)のための「QC七つ道具」として知られていますが、
農業向けには、生産工程ごとにハザードを書き出す形になっています。

◎生産工程特性要因図の例

GAP導入支援 - JA長野県営農センター 
ページ下の方に「栽培行程特性要因図」の様式があります。

トマトの栽培工程特性要因図 埼玉県北川辺とまと研究会
野菜情報2005年1月号 GAP導入によるトマト生産衛生管理事例

GAP(農業生産工程管理)の推進 - 岡山県
参考資料2 生産工程特性要因図(ホウレンソウでの例)
参考資料3 危害要因分析ワークシート(例)

GAPの実践 - GAP取組支援データベース 農業ナビゲーション研究所
 栽培工程特性要因図による危害要因の洗い出し(スイカでの例)
  ↑クリックすると、図が開きます。

2020/03/04 更新

2018年6月3日日曜日

東京オリンピック・パラリンピックの農産物の調達基準

東京オリンピック・パラリンピック競技大会 2020年
持続可能性に配慮した調達コード より
持続可能性に配慮した農産物の調達基準(PDF)

(中略)
2.サプライヤーは、農産物について、持続可能性の観点から以下の①~③を満たすものの調達を行わなければならない。
①食材の安全を確保するため、農産物の生産に当たり、日本の関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。《食品安全
②周辺環境や生態系と調和のとれた農業生産活動を確保するため、農産物の生産に当たり、日本の関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。《環境保全
③作業者の労働安全を確保するため、農産物の生産に当たり、日本の関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。《労働安全

3.JGAP Advance または GLOBALG.A.P.認証を受けて生産された農産物については、上記 2 の①~③を満たすものとして認める。このほか、上記 2 の①~③を満たすものとして組織委員会が認める認証スキームによる認証を受けて生産された農産物についても同様に扱うことができるものとする。

4.上記 3 に示す認証を受けて生産された農産物以外を必要とする場合は、上記 2 の①~③を満たすものとして、農林水産省作成の「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」に準拠した GAP に基づき生産され、都道府県等公的機関による第三者の確認を受けていることが示されなければならない。

※"JGAP Advance"は、"ASIAGAP"に名称変更。

※新型コロナウイルス感染症対策のため、東京2020大会の開催は、翌2021年に延期となりました。

2020/04/30 更新

作業環境の寒さ対策

労働安全: 必須 寒い季節には、室内を 暖房 するか、 温かい服装 で作業します。 《なぜ》 1)冬の剪定作業や、保冷庫内での作業のように寒い環境で作業していると、手足や体が冷え、作業の能率が低下したり、動きがぎこちなくなったりします。腰痛や関節痛の経歴のある方は痛むことが...